漫画家志望だった
僕は主人公3人と同世代。80年代に中学時代を過ごしました。絵を描くのが好きで、子どもの頃は漫画家になりたかったんです。アニメも漫画も好きでしたが、当時は「オタク」という言葉は今ほどポジティブに捉えられていなくて、差別的というかさげすむような意味があった。だから、「オタク」だとみられることが恐怖でした。スポーツをやって体育会系の振りをしていましたね。
「漫画家は暗い人」だと思う一方で、創作に打ち込む人生って素敵だなとも感じていて。自分は絵が得意だから漫画家になれると信じ込んでいた。漫画の勉強のために脚本集を読むようになって、20代後半で、テレビ局主催の脚本コンクールに送ったんです。そこで賞をいただけて脚本家として仕事をするようになりました。
駆け出しのころには、アドバイスをしてくれる人たちがいたし、創作の仕事が楽しかったから、ここまで続けてくることができました。でも、年を重ねてくると、叱ってくれる人や育てようとしてくれる人がいつの間にかいなくなっていると気づいたんです。がむしゃらに頑張っていた若い頃は、失敗しても笑って許してもらえるし、叱ってもらえる。でも、いつの間にかそんな時代が終わって、誰も怒ってくれないし、失敗しても許してもらえない。
50歳を越えても、自分の中に燃える情熱を持てている人ややりたいことがある人は恵まれている。でも、特に何もなく年を重ねてきたような多くの人は、若い頃のエンジンはガス欠で燃え尽きて動かなくなっていると感じたんです。
だから、人生に躓いたり、迷ったりしているおじさんたちの物語を書きたくなりました。『大人のスタンド・バイ・ミー』です。現在と彼らの少年時代を並行して描いたらおもしろいだろうなと『ラムネモンキー』の企画が立ち上がりました。このドラマを通して、ちょっとでも救われる思いになったり、勇気がもらえたりする人がいたらいいなと願っています。