エレベーターに乗り込む時に左手の階段を上がる人の後ろ姿が見えた…(写真:stock.adobe.com)
気になるニュースや家族のモヤモヤ、日々の生活で感じたさまざまな思いや誰かに聞いてほしい出来事など、読者からの投稿を紹介するWEBオリジナル投稿欄「せきららカフェ」。今回ご紹介するのは、60代の方からの投稿です。夏休み、訪れた高原のホテルで、大浴場に行った帰りのこと――。

高原のホテルで…

夏休みに高原のホテルに宿泊した時のことである。

午後3時にチェックインして、すぐに大浴場の温泉に入った。時間が早かったため、大浴場には私一人だけで、ゆったりと温泉を楽しむことができた。

その大浴場は通路から10段ぐらいの階段を降りた所にある。温泉を上がり、部屋に戻るために階段を上がっていた私はふと後ろに人の気配を感じた。大浴場にも脱衣場にも私一人だったはずだ。振り返ると長い髪を後ろで束ねた20代くらいの若い女性が俯いていた。

通路からエレベーターで部屋のある6階に上がるのだが、エレベーターに乗り込む時に左手の階段を上がる人の後ろ姿が見えた。さっきの長い髪を束ねた女性だった。

6階について、部屋までの長い廊下を歩いている時に、前方を歩く長い髪を束ねた女性の後ろ姿が見えた。階段で上がって来たのにエレベーターの私より先に6階に到着するなんて何て速いんだろうと思いながら、私は目を疑った。

浴衣姿のお客が向こうから歩いて来たのだが、お客の体をその女性がすり抜けたのである。私もそのお客とすれ違ったが、別に変わった様子はなかった。私が見た長い髪を束ねた若い女性は幻だったのだろうか。

しかし、その直後、私は彼女が真冬の分厚いニットのセーターを着ていたことを思い出した。いくら高原のホテルといっても真夏である。

背筋に冷たいものを感じたのは言うまでもない。

 

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