その国特有の女性の立ち位置を考察
ざわつくタイトルである。帯には、「ジェンダー・ギャップ指数10位(ドイツ)と121位(日本)の差とは何なのか?」とある。それって前髪を作りたがる日本女性のせい? つい、テレビで女性たちのヘアスタイルを見た。確かに前髪を垂らしている率が高いかもしれない――。
もちろん本書は、日本女性のヘアスタイルやジェンダー・ギャップ指数が低いことへの批判本ではない。在日23年の日独ハーフである著者が「その国特有の女性の立ち位置」の違いなどをエッセイ風に綴ったものだ。私たちがぼんやりと感じていた外国人女性との違いについて、的確かつ詳細に述べている。
外国人女性が前髪を作らないのは、ヨーロッパでは大人の雰囲気を持つ女性が支持されるので、カワイイ、子どもっぽいおしゃれから遠のく傾向にあるからだという。また柔らかいウェーブのかかった髪質では前髪を作りにくいという事情もあるらしい。
他にも、なぜドイツには「すっぴん」という言葉がないのか。なぜ「日焼け」がステータスになり、もてはやされるのか。腋毛はあまり気にしないのに、なぜアンダーヘア・ゼロにこだわるのか。その美意識、感性、羞恥感覚がことごとく正反対であることに驚き、退ひいて、最後は笑ってしまった。日本女性の羞恥感覚が「人の目」を意識したものであることがわかってくる。
ユーモアと気遣いを感じさせる文章に、何度、クスリと笑ったことだろう。どちらがいいとか、悪いとかいうのではなく、それぞれのお国柄の違いをまず知ることだ。前髪を垂らしていてもいなくても、私たち日本女性は、今、どんなところに立っているのか。本書を読んだ人たちと、やいのやいのと語り合いたくなる良書である。