血管の老化は、脳疾患や心疾患など命にかかわる深刻な病気の要因に。けれど、血管は何歳からでも鍛えられると専門医の池谷敏郎さんは言います(構成=島田ゆかり イラスト=谷本ヨーコ)
血管力の衰えが全身の不調を招く
日本人の4人に1人は、「血液・血管が原因の病気」で亡くなっていることをご存じですか。
健康な血管は柔らかく弾力があり、しなやか。そして内壁に炎症やコブ(プラーク)がなく滑らかで、血液をスムーズに循環させることができる状態です。これらを総合した血管の機能を、私は「血管力」と呼んでいます。血管力の低下は、脳や心臓の病気の原因となり、「突然死」を招く大変危険な状態と言えるのです。
人間の生命活動の維持に必要な栄養素や酸素や水は、血管を流れる血液とともに全身に運ばれます。一方で、体内の老廃物や有害物質は血流に乗って回収され、無害なものに代謝されたり体外に排出されたりします。血管力が衰えると、これらがスムーズに行われなくなり、全身の不調を招くことになるのです。
また、血管の内側にコレステロールなどの脂肪のかたまりが蓄積するとプラークができます。そしてこのプラークが時間とともに大きくなることで血流を悪くしてしまう。あるいはもろいプラークは破れやすいため、破れた箇所を修復するために血小板が集まり血栓(血液のかたまり)が作られ、それが血管をふさぐケースも多い。血栓が血流によって運ばれた先で動脈を詰まらせ、梗塞を引き起こしたり、動脈硬化によってもろくなった血管が破れて出血を招いたりすることもあります。