「寄席が休みになったことには本当にびっくりしました。戦時下でも開いていたというのに、緊急事態宣言の前ではどうにもならなかったんでしょう」(撮影:宮崎貢司)
2022年3月5日『1億3000万人のSHOWチャンネル』のゲストに桂宮治さんが登場。元トップセールスマンらしい軽妙なトークで櫻井翔さんを笑わせ、アジを調理する場面では、和服にエプロン姿で見事な包丁さばきも披露しました。『婦人公論』2020年9月23日号掲載のインタビューを再配信します。


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1966年から放送され、日曜夕方の定番ともいえる国民的番組『笑点』。卒業した林家三平さんの後任として大喜利の新メンバーに選ばれたのは、2021年2月に真打に昇進した桂宮治さん。初収録での自己採点は40点だったという第1回目の大喜利が今日、1月23日に放映されます。単独での昇進、しかも先輩落語家を5人抜いての〈抜擢真打〉が決まったのは、所属する落語芸術協会では久々のこと。しかし正式に承認された2020年3月以降、コロナによって肝心の芸を披露する機会も収入も激減、芸人にとって苦しい日々が続きました。昇進が決まった心境と、借金や結婚など、平坦ではなかったこれまでの道のりを、2020年9月23日号の『婦人公論』で赤裸々に語っていました(構成=篠藤ゆり 撮影=宮崎貢司)

1人でもお客様がいる限り

いやあ、2020年の4月から6月にかけて、仕事はほぼ全滅でしたね。かかってくる電話はすべて、仕事のキャンセルか延期の連絡。この時期の噺家たちは、もう電話をとるのもメールを見るのもイヤ、という思いだったんじゃないでしょうか。

立派なホールに限らず、どんな小さなスペースでも、お客様と座布団があれば、われわれは仕事ができます。反対に、お客様がいなければ仕事になりません。そんななか、寄席が休みになったことには本当にびっくりしました。戦時下でも開いていたというのに、緊急事態宣言の前ではどうにもならなかったんでしょう。

そもそも寄席は、雨が降ろうが槍が降ろうが、365日開いているところです。台風で「外出は控えるように」と報道されていても、関係なし。だって、どうやって来たのかはわからないけど、必ず1人はお客様がちょこんと客席に座っているんですから。(笑)

その方のために、何人ものご老人――あ、いや先輩方が命がけで家からやってきて、高座に上がる。それが私の知っている寄席というものでした。だから寄席休席という事態は、すべての噺家にとって衝撃的な出来事だったと思います。

仕事がなくなっても、当初はあっけらかんとしていました。3人の子どもたちはまだ小さいので、この先お金はかかりますが、なにせうちはカミサンがしっかりしている。しかも、「いずれ近いうち、夫は真打になる」「そしたらその披露目で何かと物入りになる」とコツコツ貯金してくれていたんです。贅沢さえしなければなんとでもなる。そう思っていました。

でも、仕事というのは稼ぎの問題だけではないんですね。5月の末にもなると、だんだん心が乱れるようになりました。職業替えも考えなければならないんだろうか。そんなことを思って子どもたちの寝顔を見ていると、悲しくなる。