〈治療〉諦めないで人工内耳も視野に

片側の耳の聞こえが悪いことに気づいても、「ちょっと様子を見ていれば治るだろう」と放っておく方が多いのが現状。しかし、治療を受けるのが早ければ早いほど、治る確率が高くなります。不調に気づいたら、遅くとも数日以内に耳鼻科を受診し、1週間以内に治療を始めるようにしてください。

根本的治療はないものの、より早期に入院して安静を保ち、ステロイド薬の点滴を1週間行うのがゴールデンスタンダード。どうしても入院ができない場合は、ステロイド薬の内服で対応します。ステロイド薬は血流障害による炎症やむくみを改善しますが、「血糖値の上昇」「胃潰瘍」などの副作用が起こることがあるので、十分な注意が必要です。

1週間の治療で治らない場合は、再度同じ治療を行うことがあります。それでも治らない人、また、糖尿病などでステロイドの全身投与ができない人には「鼓室内注入法」があります。麻酔をした鼓膜に針を刺し、中耳にステロイド薬を直接注入する効果の高い治療法です。1日おきに5回注射をするので、10日間ほどの入院が必要になります。この治療を最初に行っても構いません。薬物療法で改善しない場合は、「高圧酸素療法」や「星状神経節ブロック」などを行うこともあります。ここまでの治療で改善しない場合、聞こえを補う「クロス補聴器」を装用。また、片側だけの難聴ではまだ保険適用されていませんが、先進治療として「人工内耳」を埋め込む手術もあります。

突発性難聴の治療法