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心配な若い女性の突出
こうした近年の梅毒患者の急増がそれ自体由々しき事態であることは、言うまでもありません。でも、さらにその中身を検証してみると、女性に関して、かなり心配な状況が見えてきます。報告患者数の中で、女性は3分の1程度を占めているのですが、特に増え方の目立つのが、10代および20代前半の若年層。全報告数の年代別の割合を見ても、女性は20~24歳が突出しています。
男性に比べて若い世代に増えているということに加え、妊婦が罹患していた場合、子どもが先天梅毒に侵される危険性があります。この現状を見過ごすわけにはいきません。
あえて申し上げておけば、説明したような公表数字が、はたして感染の実態を正確に表しているのかどうかという根本的なところにも、私は疑問を感じています。梅毒は「五類感染症」に分類され、医師が診断した場合には全例を都道府県知事に届け出るよう、義務づけられています。でも、100%届け出がなされている保証はありません。
いったん「終息」したこともあって、梅毒の患者など目にしたことがない医師も大勢います。他の病気と誤解して、正しい診断が下せないでいる場合もあるのではないでしょうか。それ以前に、自覚症状がないために受診さえしていない患者が、どれほどいることか。そう考えていくと、今我々の目にしているデータは《氷山の一角》である可能性が、否定できないのです。