イラスト:花くまゆうさく
離れて暮らしていると、親や家族に関する心配の種をつい放置しがち。しかし、しっかり向き合い情報を集めれば、必ず解決策が見つかります。今回のお悩みは…(イラスト=花くまゆうさく 構成=村瀬素子)
《質 問》
巧妙な振り込め詐欺や架空請求詐欺。別居している親を守るにはどのような手立てがあるでしょう?(52歳・主婦)

 

《プロの回答》

回答者:中村勉(弁護士​​)

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公的な機関を名乗る事例が多く発生

警察庁などが注意を呼びかけているにもかかわらず、振り込め詐欺の被害に遭う高齢者は後を絶ちません。詐欺の手口がどんどん巧妙になっているのです。たとえば、子どもや孫を装ってお金を要求する“オレオレ詐欺”も、いきなり本人役が電話してくるわけではありません。

一例を挙げると、最初は、息子の“会社の上司”と名乗る人物がかけてきて「息子さんに代わります」と言う。息子役は「携帯電話をなくした。今後は会社の携帯を使う」と親に新しい番号を告げて登録させます。すると、次にその番号から電話がかかってきたとき、親は声の主が息子だと思い込んでしまう。そこで「事故を起こして示談金がいる」といった窮状を告げられると、慌ててお金を振り込んでしまうのです。

上司のほか、弁護士、銀行員、警察官などを装って接触してくるケースも。また、郵便やメールで、インターネットの有料サイトの利用料など架空の事実を口実に料金を要求する“架空請求詐欺”では、法務省など公的な機関を名乗る事例が多く発生しています。

いずれにしても犯人は単独ではなく、ほとんどは5人以上のグループで、組織的に行われているのが近年の傾向。詐欺を計画して指揮するボス、電話をかけて被害者を騙す「かけ子」、被害者から直接お金を受け取る「受け子」、被害者が振り込んだお金をATMなどで引き出す「出し子」、さらに現場の指示役、見張り役などもおり、役割が細分化されているのです。

また、警察に居場所を突き止められないように、各地を転々と移動したり、タイなど海外を拠点にしたりする詐欺グループが最近は増加している。こうした犯人の手法や、どういう人が“カモ”になりやすいかを知ることが、親を守るヒントになります。