経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「《マイナ保険証》は、便利なの?」です(イラスト:さかがわ成美)

「マイナ保険証」は、便利なの?

「マイナンバーカード」普及のため、政府は、紙の健康保険証を2024年秋に廃止し、「マイナンバーカード」に搭載される「マイナ保険証」に統一する方針です。

「マイナンバーカード」の取得は、制度上は「任意」ということになっていますが、「マイナ保険証」を義務化するということは、数の力(自民党の議員多数)で法律を変えるということでしょう。

では、仮に「マイナ保険証」に変えることで、私たちにはどれだけのメリットがあるのでしょうか。

「マイナ保険証」が使える病院や薬局は、22年10月2日時点で全体の約3割。約7割は使えません。しかも、その多くは中小の医療機関・薬局です。

政府は、大きな病院の混雑を緩和するために、紹介状なしで大病院に行くと初診料に上乗せ料金をかけることにしており、この10月にはその料金が最低7000円に引き上げられました。これは最低料金で、多くのところは1万円前後の上乗せに。

ですから、いきなり大病院ではなく、とりあえず近所のかかりつけ医に行くことになりますが、そういう医療機関では「マイナ保険証」が使えないことが多い。

しかも、「マイナ保険証」が使える病院は、窓口での初診時の支払いが6円上乗せされ、さらに「マイナ保険証」が使える病院で紙の保険証を出すと、初診で12円の上乗せになります。「マイナ保険証」が使えない病院には、こうした上乗せはありません。