(イラスト:さかがわ成美)

何のための義務化なのか

さらに、「マイナ保険証」を取得するには「マイナンバーカード」の4桁の暗証番号が必要で、番号を忘れたり、何回か間違えたりすると使えなくなってしまいます。

紙の保険証は期限が切れる前に、申請しなくても自動的に新しい保険証が自宅に送付されます。けれど「マイナ保険証」は、期限切れの前に役所などの窓口に行って手続きしないと使えなくなるのです。

「マイナ保険証」なら、処方薬の情報が見られて便利と宣伝されていますが、実は見られるのは3年分の情報で、しかも1ヵ月遅れ。紙の「お薬手帳」のほうがずっと便利です。

また、病院のカルテとは連動しておらず、たとえば道で急に倒れて病院に搬送された際に、病歴からすぐに適切な処置を取れるといった便利さもありません。

そもそも、「マイナンバーカード」さえ申請できない人、認知症などで暗証番号を忘れてしまった人が続出しているなか、そうした社会的弱者への対応も明確になっていない。

便利さが見えないので、何のための義務化なのか、さっぱりわかりません。