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かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

前回「アラ還・単身・女性で家を買える?借りられる? お金のプロ、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談しました、今更ながら老後の資金計画」はこちら

私には、いくらの物件が買えるのか?

ファイナンシャル・プランナー(FP)に、お金の使い方を考えろ、と言われて衝撃を受けた話を前回しました。では実際、私には、いくらの物件が買えるのでしょう。というか、住宅ローンは借りられるのでしょうか。

不動産融資の可能額を導き出す方法は、いくつかあります。(1)(購入者の)年収と金利・返済期間から、(2)(同)月々の返済額と金利・返済期間から、(3)(同)年収と銀行の査定から、(4)物件の担保価値から、の4手法です。が、(4)は投資用の指標のため、実住用(実際に購入者が居住する用)の住宅ローンでは関係ないでしょう。(1)~(3)が主になります。

(3)は大まかな指標で、年収の7倍までが融資額とされます。会社員ならば源泉徴収で、フリーランスなど個人事業主の場合は確定申告の「所得金額」のところの金額で見ます。それぞれ過去3年分を提出し、それを平均するか、最新の1年分で見ます。年収が平均約400万円ならば融資可能額は約2800万円、同300万円ならば融資上限は約2100万円、といった具合の概算です。もちろん、実際の融資の可否や、融資可能額は、物件や申込者など個別事情や条件によって変わりますので、融資審査を出してみないことには分かりません。

(1)と(2)は表裏一体です。金利と返済期間が同じ時、年収から考えるか、月々の返済額から考えるか、です。家計に占める返済額の割合(返済負担率)を考慮するのが(1)年収と金利・返済期間から導き出す方法で、月額いくらならば無理なく返せるかと考えるのが(2)返済額と金利・返済期間から導き出す方法、です。

実は、ごく簡単な計算シートがネット上にあり、そこから融資可能額が算出できます。銀行各社や、大手不動産仲介業者のホームページにも、計算ツールがありますので、試してみた方もいるでしょう。ここでは、住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションをご紹介します。
https://loan.mamoris.jp/index.html

購入者の年収がいくらか、返済期間が何年で、変動金利か固定金利のいずれか、金利は何%か、といった数値を入れると、融資額をシミュレーションしてくれます。当然ながら、返済期間が長いほど、また、金利が低いほど、多く返済できますから、多額の融資が可能になります。その意味で最強なのは45歳未満の勤め人です。住宅ローンは80歳完済がふつうですから、最大35年の融資を引けるのは44歳までとなります。会社員や公務員の場合、源泉徴収票を提出すると、それを元にローン可能額がクリアに分かります。ただ、勤め人ではなく個人事業主だとしても、年収がある70歳未満の人であれば、女性でも男性でも、住宅ローンは融資可能だとされています(私もこの薄い可能性に期待して賭けている一人です、苦笑)。