篠田さんから届く葉書の文面はいつも色鉛筆で認められており、あるとき「筆のお手紙をください」と言ったところ、この便りが届いたという。お正月に篠田さんを訪ねた際にこの先の計画を話したことを「十二ヶ月への想いをたのしく」と書かれている。松木さんの本名である「シュウ」に「志遊宇」という字があてられたのはこのときがはじめてで、以来、松木さんはこの名前を大切にしている(写真提供◎松木さん)
篠田桃紅さんと、「篠田桃紅作品館」代表の松木志遊宇さん(写真提供◎松木さん)
【篠田桃紅作品館】新潟県新潟市中央区学校町通2-5245-4 TEL:090・2999・9495開館時間:11時~16時(要予約)月曜休館。月曜が祝日の場合は翌日休館入館料1000円
作品館は新潟市内の住宅街にある。この地に移転して10年を迎えた。松木さんが特に思いを込めた扉の中央には、篠田さんの文字をレリーフにしたものが
画文集のカバーは、この丸が印象的だ。100歳を超えた篠田さんが、はじめて描くようになったのが丸。「アトリエでどの作品を購入しようかと眺めていたら、制作中の桃紅先生が丸を描き始めて。どんな作品になるかもわからなかったのに、私はとっさに『先生、この作品にします』と言っていました」(松木さん)(写真提供◎松木さん)
一首ごとに古い版木から柄を選び、同一の色がないようこだわった色で染め、書をなした『小倉百人一首』は、2000年に松木さんに託された。まさに伝統を踏まえたモダニズムが生きた大作で、お正月時期の館の目玉作品となっている。右は紫式部、中は喜撰法師の歌(写真提供◎松木さん)