長引く不況と恋愛の「希望格差社会」

こうした性経験率の低さも、「恋愛は面倒」だと感じさせる一因かもしれません。

ただ、それと同等かそれ以上に、恋愛を遠ざけている要因は、「不況と希望格差社会」であることは、ほぼ間違いないでしょう。

東京大学が若者(おもに18~39歳)1万人の、28年の間のデータを分析した研究によれば、学歴や収入が低いほど異性との交際を諦める人が多い様子が明らかになりました。しかもその傾向は、以前から言われてきた男性に限らず、女性においても顕著だったのです。

具体的には、シングル(未婚・交際相手ナシ)の約半数が、異性との交際に関心がなかったのですが、その属性は「年収300万円未満」が、男性で8割弱(76.4%)、女性で9割弱(87.8%)を占めました(’20年同「日本成人における草食化(異性間交際及び交際への関心の有無)の傾向及び関連する因子について」)。

社会学者で中央大学の山田昌弘教授は、こうした状況を「希望格差社会」と表現します。進化心理学者ランドルフ・ネッセの論文、すなわち「努力が報われると思えば、希望が生じる」「でも努力しても無駄だと思えば、絶望が生じる」との記述に由来する言葉です。