台湾に根付く民主主義

「台湾の有権者は、地方選と総統選では候補に求めるものが違うところがある。地方選ではローカルな話題が争点になり、総統選では台湾の長期的なあり方が争点になる」=福田氏

「民進党と国民党の二大政党による選挙にならず、第三勢力の候補にも一定の支持がある。背景には、台湾の世論が二分されず、多くが真ん中あたりにあるからだと思う」=小原氏

伊藤台湾は1996年、初めて総統を民主的な選挙で選びました。間もなく30年になりますが、民主主義の成熟を感じます。民進党と国民党の間で政権が3度入れ替わりました。前回2020年の総統選の投票率は75%近くに達しました。台湾の民主主義は伸び盛りで、自分たちが選択するという意識がとても高いように思います。

昨年行われた統一地方選で、与党・民進党は大敗して、蔡氏は党のトップの主席を辞任しました。しかし、統一地方選に勝利した国民党が総統選でも優位を保っているかといえば、必ずしもそうではありません。福田さんの言われた通り、台湾全体の政治を任せられるのか、特に対外関係に不安はないのかという点を、台湾の人たちは注意して見ているように感じます。

吉田世界では民主主義に挑戦する動きが見られますが、台湾には民主主義が根付いており、番組で紹介された候補の活動の様子を見ても熱気を感じました。読売新聞は9月、4人の候補を紹介する連載を掲載しました。台湾の進路について、様々な議論が行われていることが分かります。民主主義を守るという意味でも、今回の台湾の人たちの意思表示はとても重要です。

”大混戦”台湾総統戦に「異変」が©️日本テレビ

野党の候補が割れているため、民進党と反・民進党という見方をすれば、与野党は拮抗していると見ることもできます。野党の共闘も今後の焦点になりそうです。注意したいのは中国の影響力工作です。このまま民進党が抜け出す形になると、中国も黙ってはいられないということになります。