生活習慣病以外でリスクが高いのは、若い頃(60歳未満)に発症したうつ病。なんとアルツハイマー病のリスクは3.8倍です。再発回数が多いほど、将来認知症になる可能性が高くなると考えられています。また、国立長寿医療研究センター研究所の実験で、歯周病も認知機能を悪化させると判明。歯を失ってめなくなった場合のリスクは最大1.9倍にもなることがわかりました。
近年の研究では、難聴のリスクが注目されています。程度が軽い人は2倍、重い人では5倍も認知症になりやすいとアメリカの研究所が発表しました。また中途失明した人も、認知機能が衰えやすい。耳や目から得る情報が少なくなり、脳への刺激が減ることが原因でしょう。
ちなみに、日常生活で認知症リスクが確実に高いといわれているものには、偏った食事、過度の飲酒、そして運動不足などがあります。
こうして見てみると、中高年世代に身近な病気が非常に多いことがよくわかるでしょう。40代、50代から生活習慣を改善し、病気を適切に予防・治療することが、認知症の予防にダイレクトにつながるのです。
受動的ではなく、人に“伝える”楽しみを
とはいえ、生活習慣病の多くは自覚症状がなく、予防や治療に積極的ではない中高年もいるかもしれません。しかし、「生活習慣病を放っておくと、年を取ったときに認知症のリスクが高まる」と知れば危機感も高まるのではないでしょうか。
予防の第一歩として、健康診断で気になる数値が出たときは、早めに内科を受診して薬などによる治療を始めるようにしましょう。一つ注意したいのは、高齢者は中高年と同じように生活習慣病を治療すると、逆効果になる可能性があるということ。高血圧は治療すべきですが、高齢期の低血圧はリスクを高めます。過度の投薬で血圧を下げすぎないほうがよいでしょう。
また糖尿病では、高齢者は治療で低血糖を起こしやすい。それが脳にダメージを与え、認知症の原因となります。年齢によって生活習慣病の対策が違うことも、ぜひ覚えておいてください。