『婦人公論』12月号の表紙に登場した森山良子さん

わが家は完全分離型なので、独立した2つの家が壁1枚を隔てて1つにくっついた形をしています。住居は左右で分かれていて、玄関も別々です。

最初は、私の家と小木家でスペースを半々にするつもりでした。そのほうが揉めたりしなくていいのかなと思って。でも、小木が設計図を見て「寝室がちょっと狭いんだよなぁ」と言うんですよ。もっとスペースが欲しい、と暗に仄めかすの。

たしかに、小木家は3人、私はひとりだから寝室がすごく広い。「わかったわ。私のスペースをあなたたちに少しあげましょう」と言ったら、小木が「もっと早く言ってくださいよ。その言葉が欲しかった」って(笑)。それで小木家の住まいのほうが少し広くなりました。

内装やインテリアはお互い好きなようにしたので、家の中の雰囲気は全然違います。うちの壁は木材や白っぽい色だけれど、あちらはピンクとかいろんな色を用いてポップな感じ。

私が一番こだわったのは、ダイニングテーブルです。家を建てる前、天然木の一枚板を2つ合わせた大きなテーブルを家具屋さんで見つけて一目惚れ。同じ作家の椅子も揃え、その雰囲気に合わせて家を作っていきました。

このテーブルは、大人12人がゆったり座れるくらい大きいんです。ひとり暮らしとはいえ、「人がたくさん集まれる家」にするのが私の一番の希望でしたから。

というのも、私の育った家がそうだったのです。両親は誰に対してもオープンでウェルカム。いつも兄や私の友だちが遊びに来て、ご飯を食べて帰ったりしていた。その家風は私にも受け継がれ、娘も息子の直太朗も友だちをたくさん連れてきて、いつも賑やかでした。

だから私の家には、人が集える大きなテーブルが不可欠。外で友だちとお酒を飲んだ帰りにでも、「ちょっと寄ってく?」と言えるような家にしたかったんです。