「島のえき」で世話をしている約60匹の猫たちの餌の寄付は、現在運営を担っている「合同会社くらしごと」の公式サイトやSNSで募集している

当時、団体の理事を務めたのは、震災の2年前に仙台から夫婦で移住してきた渡辺仁悦(じんえつ)さんとゆう子さん。16年9月には、廃校となった小学校の給食棟だった建物を市から借り受け、食堂兼お土産処「島のえき」を開設した。

島を訪れる人々が山の中腹で一息つけるオアシスのような場所。夫婦は漁で生計を立てつつ、毎日店頭に立ち続けた。

当初、ここには猫がいなかった。しかしケガや病気の子を連れてきて世話をするうち、あっという間に60匹が集結。そのすべてに名前を付けて識別し、日々の餌やりから健康管理まで行い、愛情をそそいだ。

写真は石巻の港で保護された仔猫。成長したら「島のえき」でデビュー予定

結果、「島のえき」は田代島でもっとも多くの猫に出会える《天然の猫カフェ》状態に。今も日々、訪れる人を癒やし、楽しませてくれている。

22年、「(一社)田代島にゃんこ共和国」は、一定の目標を達成したとして解散。「島のえき」の運営と猫たちの世話は別の法人に引き継がれたが、病気やケガを負ったと聞けば夫妻が駆け付け、猫をレスキュー。自宅に連れ帰って看病したり、本土の動物病院に連れていくなど強力なサポートを続けている。