仁斗田港に比べて静かな大泊港。このあたりに住む2匹の名は「どんべい」(左)と「けんぞう」(右)。渡辺さんの姿を見るとすぐにご飯の催促が始まる(撮影:千葉裕幸)
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市。その離島である田代島が今、世界中から観光客を集めている。通称、キャットアイランド(猫島)。猫好きの外国人が「日本を訪れたら必ず立ち寄りたい」と口をそろえるほどの<聖地>となっているのだ(取材・文=塩坂佳子 撮影=千葉裕幸)

<前編よりつづく

猫好きの支援で成り立つ天然の猫カフェ

田代島では高齢化と過疎化が急速に進んできた。昭和30年代の最盛期には1000人を超えた人口が、今ではわずか43人(2020年10月1日現在)。「人より猫が多い島」として有名になった田代島だが、猫の世話をする島民の負担は、ますます大きくなるばかりだ。

東日本大震災で被災し、壊滅状態となった島の暮らしを立て直そうと立ち上げられた任意団体「にゃんこ・ザ・プロジェクト」(のちの一般社団法人「田代島にゃんこ共和国」)。

寄付の募集は島民の生業に必要な牡蠣養殖棚の復旧のためだったが、その要項に「集まった金額の1割は島の猫の医療費や餌代に使用」と記したところ、短期間で多額の寄付が殺到。そのほとんどが「猫たちのことをお願いします」などのコメント付きで、猫好きと思われる人々からの支援だった。

約束通り団体では、そのお金を医療費、餌代、不妊手術代にも充ててきた。ボランティアで通い続ける獣医師の存在も大きく、震災後、島の猫の健康状態は格段によくなったと言われている。

田代島に暮らして14年になる渡辺仁悦さん、ゆう子さんご夫妻。自宅では10匹以上の飼い猫に加え、病気やケガで療養中の保護猫たちが常時いる