母親とは友達のような関係
梶さんは本当に凛としていらっしゃる方ですし、真莉の母親役にぴったり。とても力強くて、母親然としているわけではないけれど、もちろん真莉より経験もしているし子育てのこともわかっていて、人生においての先輩でもあります。
ですが、母親だからこそ真莉が受け入れられない言葉を言ったり、真莉もそれを認めたくないこともある。そういった感情のやりとりにおいても、梶さんが母親役をやっていただけることになって、とても母子の関係に説得力が増しました。
母親といえば、私の母は、20歳の時に私を産んでいるんです。若い母親で、とくに私が学生の時は友達のような距離感でしたし、友達もみんな、私だけでなく母とも友達のような感じでしたね(笑)。
私が仕事を始めて、地元の大阪から東京に出てきて自分の世界ができると、家族と離れてひとりだけのテリトリーができました。その時に、今回の作品の真莉と母親じゃないですが、「自分が正しい」という思いが強くなって、気持ちのすれ違いもありましたね。
だからといって、大きな喧嘩をしたというわけでもないんですが、いろいろな環境の変化や成長によって、親との距離感も変わることがあります。
過程を受け止めたり、受け入れたり、時には怒ってくれたりするのが、母親という存在。今となっては、母親のほうが子どものような感じもするし、立場が逆転するような時もあれば、負けたくないという母親がいたり。そういう可愛らしい部分も含めて、親子の関係性が変化していくところもありますよね。
今は大阪に帰る機会も増えましたし、母親と一緒においしいものを食べたり、買い物に行ったり。私が帰った時に一緒に出かけることをすごく楽しみにしてくれています。