鳥居ユキさんが11月30日放送の『徹子の部屋』に登場。デザイナーになるまでの経緯や、最愛の夫との別れについて語ります。今回はファッションデザイナーとして60年の歩みと、それを支え続けてくれた夫について語った『婦人公論』2022年2月号の記事を再配信します。
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60年もの長きにわたり、休むことなく走り続けてきたファッションブランド「YUKI TORII」デザイナーの鳥居ユキさん。79歳になる今も、勢力的に仕事をするバイタリティはどこからくるのでしょうか(構成=内山靖子 撮影=宮崎貢司)
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60年もの長きにわたり、休むことなく走り続けてきたファッションブランド「YUKI TORII」デザイナーの鳥居ユキさん。79歳になる今も、勢力的に仕事をするバイタリティはどこからくるのでしょうか(構成=内山靖子 撮影=宮崎貢司)
100%満足しないから次のパワーになる
19歳のときに、母のファッションショーで初めて作品を発表して以来、ファッションデザイナーとして今年で60年を迎えます。デザイナーの先輩である母に、「年2回、ショーで発表することがデザイナーの使命」と告げられていたので、デビューから今日まで1度も休んだことはありません。
先日、2022年春夏コレクション「マイ・フラワー・ガーデン」をオンラインで発表したところですが、すでに次のコレクションのことを考えています。
この60年の間に、デザイナーをやめたいと思ったことも、仕事のペースを落とそうと考えたこともない。今も朝9時に出勤して仕事をしています。走り続けていないとアイディアは浮かんでこないですからね。毎回、自分のすべてを出し切ってこそ、次につながっていくのだと思います。
もちろん、一つのショーを仕上げるまでには大変なことや苦しいこともあります。100%満足できるなんてありえない。だからこそ、「次もやらなくちゃ!」という思いが湧いてくる。前回のショーでやり残したことがあるから、それを熟成させて、次はもっといい形で表現しようというパワーになっているのです。
私、終わったことは振り返らない性格なんですよ。だから、「60年の間に苦労はありましたか?」と聞かれても、何一つ浮かんでこない(笑)。失敗なんて、1分たてば忘れちゃう。うじうじと落ち込んでいる時間がもったいないでしょう。「これがダメなら、次はどうすればもっとよくなるか」と考えたほうが、先に進んでいけるんです。