「自分の意志で仕事を選び、自分のペースで楽しめるようになったので、すごくラク。これも年齢を重ねたおかげかもしれません」(c)GEKKO

精神的に図太くなった

ここ10年を振り返ってみると、体力的には確かに衰えたと感じることもありますね。すぐに疲れてしまうし、ほんのわずかでも昼寝をするなんて50代の頃にはあり得なかった。

でも、その分、精神的にはずぶとくなってきていると言いますか。自分の中に潜んでいた「明るさ」が10年前より際立ってきて、以前は、人前では自分自身のことをそんなに喋らなかったのに、近頃はぺちゃくちゃ喋ってる(笑)。いい意味で、羞恥心がなくなってきたのでしょうか。

長年、ライブをやっていると、あまりウケずにステージですべったこともありますよ。そんなとき、以前なら「あ、マズイ」とうろたえて、こちらの動揺がお客さんにも伝わって気まずい空気になってしまったことも。それが最近では「え? あえてすべったんですが、それが何か?」と開き直れるように(笑)。それは芸人として大きなプラスだと思います。男の芸人さんの場合は、年齢を重ねるにつれ責任や重圧がのしかかっているように見えるけど、私を含め周りの女性たちは、年齢とともに軽やかに、どんどん無責任に遊べるようになっているような気がします。

正直な話、テレビで注目された20代の頃より、60代になった今のほうがぜんぜんラクですね。若いときは周囲からの期待が大きすぎて、いくら働いても充実感や達成感が得られなかった。全力を出し切ってその日1日の仕事をこなしても、明日はまた別の仕事が待っている――心身共に疲れ切ってしまって、30代を迎える頃には「もうやめてもいいや」と考えていた時期もありました。

でも、今は「これはやる、これはやりたくない」って自分の意志で仕事を選び、自分のペースで楽しめるようになったので、すごくラク。これも年齢を重ねたおかげかもしれません。