「あの場所にはやっぱり不思議な力があるのだと思います」(c)GEKKO
デビュー以来約40年間、モノマネをベースに、テレビ、ラジオ、ドラマに執筆と幅広いジャンルで活躍を続けている清水ミチコさん。その中でも、清水さんの核となり、ライフワークとなっているのがライブ活動だ。今年も11月から「清水ミチコアワー ~ひとり祝賀会~」と銘打った全国ツアーがスタート。年始の恒例となった日本武道館での公演も控えている。武道館でのライブはなんと10回目!記念すべき今回のライブに臨む意気込みと、約10年間でご自身が感じている様々な変化について、お話を伺った(構成=内山靖子)

武道館の不思議な魅力

おかげさまで、毎年、年明けに行っている武道館ライブも今回で10回目。武道館のステージに立つと、毎回、不思議な気持ちになるんです。いくら回数を重ねても、1万人近いお客さんに囲まれたステージに上がった瞬間に、「うっ」と圧倒されてしまうのは変わりません。でも、お客さんと一緒に笑って楽しんでいるうちに、あの広い会場がどんどん狭くなり、みんながひとつになっていく感覚が味わえる。それが武道館でライブをやる何にも代えられない楽しさで、「また、やりたい!」って感じるんですね。

あれだけのキャパなので、うまくネタが書けないときは「なんで、引き受けちゃったのかな~」って後悔しちゃうんですけど(笑)。それでも、毎年ライブを終える度に「来年は、こんなことをやってみたい」という意欲が湧いてきます。私だけでなく、武道館で「はずした」とか「失敗した」というアーティストの話を聞いたことがない。あの場所にはやっぱり不思議な力があるのだと思います。

今回のライブは10回記念ということで、まずはいろんな方のモノマネで祝辞を読み上げます。男女とりまぜて15人くらい。驚きのゲストも生で来ますので、お楽しみに! そして「ほぼ1世紀メドレー」も。今期の朝ドラのモデルになっている1940年代に一世を風靡した歌手の笠置シヅ子さんを筆頭に、50年代は美空ひばりさん、60年代は越路吹雪さんと、それぞれの時代を代表する歌手の方のモノマネでメドレーし、現在までのヒット曲をつないでいきます。新ネタとしては、「新しい学校のリーダーズ」をもじった“新しい仏教のリーダーズ”。私の体にあの世から瀬戸内寂聴さんに舞い戻ってきてもらうという設定で、人生の教えを説いていただきます。

初トライする新しい学校のリーダーズもそうですが、今回のライブに限らず、今、話題の人、旬の人たちのモノマネにも積極的にチャレンジしていきたいですね。「今までのレパートリーで十分じゃん」という声もありますが、やっぱり冒険しないとお客さんも飽きちゃうし、誰よりも自分自身が飽きてしまう。大好きなライブにワクワクして取り組んでいくためにも、「次は誰のマネをしようかな?」って、テレビを見ながらチェックも欠かしません。やす子さんやYOASOBIさんもマネしてみたいし、「あのちゃんもやって」とリクエストされたので、ぜひトライしてみたいです。

モノマネ芸人の方にも様々なタイプがありますが、私の場合、マネするのは声だけです。声は人なりというくらい、声にはその人の性格が顕著に表れていますから。声をマネしながら、「この人は優しそう」「この人は芯が強そう」って想像しながら、その人になりきっていくのが子どもの頃から大好きなんですよ。で、魅力があると感じる人は、たいがい声に特徴がある。ユーミンさんの声も奥が深いでしょう。あの声だから、彼女の歌はこんなにも人をひきつける。他の歌い手さんがユーミンさんの曲をカバーしてもそれほどピンとこないのは、やっぱり声が違うからだと思います。