不思議なご縁
6年前、まず最初に向かったのは、越乃寒梅のお酒を造っている石本酒造様でした。
明治時代から続く酒蔵です。
在団中、越乃寒梅の娘と間違われながらも、まったくご縁はなく、これは自分からご縁を作るしかないと、勝手に親近感を持っていた石本酒造さんの門を叩きました。
そう、いつだって直談判からのスタートなのです。
初めてお会いした社長様は、とても体格のいい方でした。
この体格は、柔道だろうか、ラグビーだろうか、相撲だろうか、などと思いながら突然訪ねた私に、社長様の表情は固く…。芳しい反応もいただけず、心の中で何度も投げ飛ばされそうになりながら、それでも私は故郷への想いと、自分の気持ちを話し続けました。
やはりダメかと思った瞬間、
「わかりました。一緒にやりましょう!」
と優しい笑顔を向けてくださいました。
このときのことは今でもはっきり覚えています。
そして、「越乃」繋がりだけでなく、社長様の名前にも「龍」が入っていることを知りました。
先代からずっと名前に「龍」が付いているとお聞きし、何だか不思議なご縁を感じました。
酒造りはエンターテイメントのようなもの。
一人でも多くの方々に喜んでいただけたら幸いです、とおっしゃっているのを聞き、心を大きく動かされました。
明治時代から続く酒蔵の酒造り。
世代を超えて受け継がれる味を、どこまでも極めていくという酒造りのこだわりと、進化を重ね、今もなお前進を続けている姿勢。
そんな姿勢に尊敬の念を抱くと共に、自分を重ね、襟を正しています。