経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「高騰する金(ゴールド)の真の魅力とは?」です(イラスト:さかがわ成美)

高騰する金(ゴールド)の真の魅力とは?

金が、高値を更新中。中東情勢の緊迫化などで、安全資産と言われている「金」にお金が流れ込んでいるためです。10月30日の田中貴金属工業の店頭小売価格は1グラム1万653円(税込)と過去最高値になりました。2000年頃には1グラム1000円前後でしたから、なんと10倍以上になっているのです。

「有事の金」という言葉がありますが、戦争などの大きなできごとがあると、「金」は買われる傾向にあります。ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナの軍事衝突もそうですが、いつなんどき他国から攻められ、逃げなくてはならない状況になるかわからない。

そんな時、自国の紙幣を持って逃げても、国が破綻したらただの紙切れになってしまう。けれど「金」なら、世界中どこに行っても、その土地の通貨に換えられるので、大陸の人たちは「金」を資産として買います。

「金」は、身につけて海を泳いで逃げても錆びないし、ダイヤや真珠のように、戦火で燃えてダメになってしまうこともありません。高温の火には溶けてドロドロになりますが、溶けて変形してしまっても、1グラムあたりの相場で売ることができます。

また「金」は、他の貴金属に比べてポピュラーでありながら稀少性もあります。6000年も前からさまざまなところで採掘されていますが、それでもこれまで掘られた地上の「金」の総量はオリンピック競技用プール約4杯分(約19万トン)と言われています。

ただ、現在すでにかなり高値になっているので、投資商品としては旨味が少ないかもしれません。「金」の現物は消費税に加え、売買の手数料もかかります。

さらに地金の場合、預かってもらうのに、保管口座開設料と保管料がかかる場合も。買うなら短期的な取引でなく、子孫に残すくらいの長い目で考えたほうがいいでしょう。