自分で自分に押し付けていた“お母さん像”から自由になって

子育てを通じて、子どもを産んだところで、スイッチが入るように変化するのは無理なんだとわかってきました。徐々に母になって行くのだと。私には「母になったら変わらなければいけないのかな?」という誰に与えられたかもわからない“世間体”のプレッシャーがあったのかもしれません。

「お母さんはこういうふうに振る舞わなきゃいけない」「お母さんはこういう格好をしなくちゃいけない」とか、勝手な思い込みがありました。いつの間にそれが息苦しくなって、自分の自由にしようと思い立ったところから徐々に楽になっていきました。

丁寧な暮らしもそのあたりから楽しめるようになりましたし、好きな服を着ることも再開しました。自分らしさをできる範囲で追求すると、楽になるような気がします。

産後の体調ですが…出産して15キロ太りました。肝っ玉お母さんっぽくて安定感があるのかもしれませんが、私はスタジオのモニターで自分の水着姿を見た時に「これは理想の珍獣ハンターイモトじゃないな」と思ってしまった。(笑)

そこから食べ物と運動に気を使って、いまの体重に戻しました。やりたくて挑戦できていなかったダンスも始めて、筋がいいと褒められたりして、最高に楽しいですね。

子どもに対しては、「こうあるべき」みたいな姿は押し付けずにいたいです。息子と日々接していて、2歳であっても人間は個性の塊、個人差もすごいんだとわかりました。自分の子どもであっても自分とは違う好き嫌いを持った人間なんだということを、この先もずっと心に留めていたい。

かくいう私自身も“丁寧な暮らし”は親からの伝承ではないんです。誰に支持されたわけでもなく楽しんでいるからこそ、楽しいのかもしれません。私の場合は、自分で進んで日常に楽しみを見つけると、8000メートル級の山に登るのと同等の心の洗濯ができるんだとわかりました。

この本を通じて、そんな単純な私とワクワクを共有していただけたら嬉しいです。