茂木健一郎選考委員「『トットちゃん』は、脳科学的に素晴らしい」

選考委員の茂木健一郎さんは、賞の意義について次のように語りました。

「本というのは、人々にいい影響を与えるものだと、わたしは脳科学者として思っています。いま、世の中がいろいろ大変なんですけども、その人の活動が世の中にいい影響を与えている方、そういう方が野間出版文化賞にふさわしいのではないか。今年、このように素晴らしい方々が賞をお受けしてくださったことをありがたく思っております」

黒柳さんの『窓ぎわのトットちゃん』については、「脳科学をやっている立場から言うと、あれほど多くの子供を救った本はないのではないか」と述べ、次のように語りました。

「トットちゃんの通うトモエ学園の校長先生が『君は、本当はいい子なんだよ』と言ってくれたあの時に、黒柳徹子さんは本当に救われたんでしょう。子供にとって自分の個性をそのまま認めてもらう、受け入れてもらうというのは、どんなに素晴らしいことか。

おとぎ話では苦労した後に幸せになりますけれども、脳科学的に言うと逆なんですね。子どもたちには、今日から幸せになってほしいんです。自分の存在を周囲に認めてもらって、丸ごと受け入れてもらって、その幸せがスタート地点となっていろんなことを学んでいく。

そういうことを黒柳さんの本はまさに体現しています。ずっとずっといい影響を世界に与えてくださっている素晴らしい方だと思います」

茂木さんのスピーチにも、受賞者の黒柳さんにも、会場からは大きな拍手が送られました。

 


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