写真を拡大 のどかな、そしてどこか懐かしき風景(C)2015〜2023 George Nobechi
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく

第1回 コンセプト(ステートメント)はこちら

他の水族館とは異なる視点の展示

2021年の6月、まだコロナ禍で静かだった頃に北陸地方の撮影ロードトリップに出た。もちろん行程には水族館訪問も欠かせない。その際に訪れた福井県坂井市にある越前松島水族館は、日本海に直面している好立地を上手く活用している。

例えば、イルカショーは海をバックにしたアリーナで行われる。夏季は、目の前の海岸で「磯の生物観察会」という体験イベントも開催している。

また、「さんごの海」では、水槽の上に透明のアクリル板があり、透けた床から水槽の中を見下ろすようにできていて、他の水族館とは異なる視点を演出している。船底がガラス張りのグラス・ボトム・ボートと同じ概念である。

写真を拡大 仲良く泳ぐイルカを見届けて(C)2015〜2023 George Nobechi