ピカピカのバービー世界
主に市井に生きる人々を描いていたガーウィグが選んだのがバービー人形の世界。手練れのエッセイ漫画家が突如ファンタジックな題材に挑むような違和感がキャッチーだったのか、製作発表時から注目を浴びていました。制作に名を連ねている主演のロビーの名前の効果も大きかった。
彼女は女性の地位向上に関して積極的に発言し、フィギュアスケート界でライバル襲撃事件を起こして物議を醸したトーニャ・ハーディングを描いた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)という大傑作に主演・制作で関わってもいましたから。
公開前後共に話題になった『バービー』ですが、作品自体はガーウィグが持っている世界観が壊れることのないものでした。
映画では、あまりに確立されたバービー人形としてのアイデンティティが揺らぐバービーが友人のケンと共に現実世界へ旅立ちます。まずこのピカピカのバービー世界の描写、人でありながら人形であるバービー&ケンの造形は見事です。