カラー診断は世界中の肌の色を基本としたもの

最初にこのお話をしたのは、「カラー診断が気になって着たい色を着られない」というお悩みはよくあるものの、それは自ら「ファッションの可能性=なりたい自分になれる可能性」を、半減させているのと同じだとお伝えしたかったからです。

そもそもカラー診断とは、アメリカで生まれたものです。

『「センスがいい人」だけが知っていること』(著:しぎはらひろ子/青春出版社)

ありとあらゆる肌・髪・目の色をした人たちが歩いているアメリカのニューヨーク5番街で、あなたがTシャツ専門店の店長として働いていたとしましょう。

扱うTシャツの色は30色あります。すると店長のあなたに、チョコレート色の肌をしたエイミーという女性客がこう言いにきました。

「この店の販売員はどうなってるの? 私に似合うTシャツの色は何色か聞いたら、あの販売員は『こちらが似合います』、ほかの販売員は『こちらがお似合いです』って、すすめてくる色が全部違うのよ! 私はいったいどの色を着ればいいの?」

さあ、あなたなら何と答えますか?

100人いたら、それこそ100通りの肌色と髪色をしたお客様が来店する店では、何か基準を作らなければお客様に最善のアドバイスができませんよね。

そこで、あらゆる肌色や髪色の人たちがそれぞれに似合う色を選びやすいように作られたのが、カラー診断の理論なのです。

もし私たち日本人がニューヨーク5番街のTシャツ専門店に行ったなら、店員さんは間違いなく私たちを「全員イエベ」と判断するでしょう。世界的な目で見れば、日本人の肌色はみんな同じに見えるくらい大差がないからです

そんな私たちに、世界中の肌の色を基準に誕生したカラー診断の理論を当てはめる必要性は、果たしてどれほどあるだろう……と、私は思っています。

実際にスタイリングのお仕事の中で、カラー診断でお困りのお客様の「縛り」を外して、結果的にとても喜んでいただけたことがあります。

そのお客様はある企業の女性社長で、前に依頼したスタイリストから「カラー診断はイエベのスプリング、顔タイプ診断はキュートタイプ、骨格診断はナチュラル」と言われていました。「ですから、この診断結果以外の服は着ないでくださいね」とアドバイスを受け、その通りのファッションにしてみたものの、「これだと一企業を担う社長としてのイメージづくりが思うようにいかないんです」と悩んでいたのです。

そこで私は「診断のことはいったん全部忘れましょう! いちばん大切なことは、ビジネスで有利に働くファッションを身につけていること」と、なりたいイメージを改めて整理し、ゼロからスタイリングの再構築をしました。

企業のコーポレート・カラーのネイビーをポイントに、知的でクールなスッキリとしたデザイン、素材は上質で気品あふれる光沢を意識し、誰が見ても社長とわかる存在感を演出しました。すると、「こんな服は初めて着たけれど、しっくりきます!」と、ご本人は満面の笑顔。

そのときのコーディネートでファッション誌に登場したところ、「『なんて上品で華やか。さすが**の社長ですね』と、多くの方から大絶賛されました」と、うれしい報告が届きました。