大学側の不適切な発言、指導などがしばしば問題に

――教職員や経営陣が起こす不祥事には、どんなケースと対応がありますか?

教員ではアカデミックハラスメント(アカハラ)やパワハラ、セクハラ、ほか不適切な発言や指導などがしばしば問題になります。研究費などを不適切に流用して報道されてしまうケースもありますね。教員と学生との間でトラブルや不祥事が発生した場合、学科長や学生部長などの教員や学生支援部門の職員が学生およびその保護者との間に入り、解決のために奔走することになります。教職員の間でのトラブルなら、人事部門やハラスメント対応部門の教職員が必要な対応を行います。こうした事態が起きないよう、多くの大学では「これはアカハラに該当します」といったことを学ぶ研修を、総務・人事部門が教職員に対して企画しているはずですが、そうは言っても起きるときは起きてしまいます。

論文の剽窃など研究に関する不正を学生や教員が起こした場合は、教員を中心に対応が検討されます。場合によっては学位の取り消しのように、社会的にも影響が大きな決定を下すことも。こうなると、関係各所に対する手続きも必要になってきます。

学長や理事長といったトップの方が教職員に対するハラスメント行為や、経営上の不正行為を行い、大問題になるようなケースもあります。不祥事と言えるかはケースバイケースでしょうが、不当な降格や解雇といった労働問題によって教職員から法人が訴えられるケースもしばしば起きています。こうした場合は企業と同様、人事部門の職員が対応に追われることになるでしょう。労働争議を抱えている法人は珍しくなく、人事部門の職員はなかなか大変です。

いずれのケースでも、広報部門はメディア対応や情報発信に追われることになります。

『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(著:倉部史記・若林杏樹/中央公論新社)