会社に不満はないけど、不安がある
新入社員期は多くの若者にとって学生から社会人への移行期、また職業生活の最初期の段階にあり、組織適応に加え基本的な職業能力を付与する必要のある時期である。
こうした時期の育成機会が大手企業においても2015年以降減少する状況が、もう一方では起きているのだ。
ここまでの各種統計や調査をもとに、現在の若手に顕在化しつつある状況を整理すれば、若手は、仕事における負荷が低下(労働時間が減少、有給休暇取得率が向上、上司からはよく褒められる……等)するなど相対的に労働環境が好転しており会社のことが好きになってきているが、他方でキャリアにおける不安に直面しているということだ。
それは、職業社会全体の変化を前提とすれば「会社が若手のキャリアを丸抱えする」ある種の“平等性”があった時代が終わり、「若手自身が会社も使ってキャリアをつくる」時代へ急速に転換したことに端を発した、モヤモヤした不安とも言えよう。
こういった状況を筆者は、一言で、会社に不満はないけど、不安があると表現する。