OJTの機会は減り、“ながら”や“放置型”に

こうした状況を裏打ちするように、大手企業の育成機会が縮小されている動向も示唆されている(図表2)。例えば、OJTについてその機会が「全くなかった」と回答した若手の割合は2015年調査の14.6%に対して、2022年調査では20.1%へと1.4倍に増加している。

【図表2】入社5年目までの若手社員への教育訓練機会の推移(2015年、2022年)<『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』より>

また、OJTの質面でも、育成を主目的とした計画的OJTは2015年の37.1%から2022年で30.9%へと減少、業務の傍らで行われる“ながらOJT”や“放置型”へと変質している様子も見られている。

『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』(著:古屋星斗/日経BP 日本経済新聞出版)

働き方改革以降の管理職層の多忙さは指摘されているとおり、もはや職場のなかで育成を行うような余裕はないのかもしれない。

また、業務から離れた知識や経験習得の機会であるOff-JT機会も減少している。

「機会がなかった」は2015年調査の32.1%から2022年調査の43.3%へ急速に増加、「機会はあったが、受けなかった」と合わせると、Off-JT機会を得られなかった若手は、41.7%から50.9%へと過半数に到達してしまった。

さらに、時間数についても減退傾向は明らかで「1年間に合計で50時間以上」は19.4%から8.8%へと半減していた。

結果として、年間平均のOff-JT時間は19.0時間から11.5時間へと減少した。これは実に2015年と比べて40%減である。