草笛 もうひとつびっくりしたのが、いつのまにかお花の仕事をするようになったこと。足を上げて、見事なアクションをしていた人が。
志穂美 びっくりしますよね。だって自分でもびっくりしているくらいだもん。
草笛 どうしてそうなっちゃったわけ?
志穂美 子育てが一段落して自分の時間ができた2010年ころ、「私が通っているお花の教室に一緒に行ってみない?」と知人が誘ってくれたのがきっかけなんです。
草笛 それだけ?
志穂美 主人がライブをすると、楽屋にお花をいっぱいいただくじゃないですか。大好きだから自宅に持ち帰って花瓶にポンポンと入れるくらいだったのが、習い始めたら夢中になっちゃって。すぐに基礎と創作の2つの教室に通うようになりました。
草笛 あなたの作るものは、なにしろ大きくてダイナミック。色使いもうんと華やかで。
志穂美 「テーブルにきれいに飾れたらいいな」というところから習い始めて、自分で作品を撮影して写真集にしたんですよ。それを見た方のご縁で、奈良・薬師寺の国宝のお堂をお花で飾るお話をいただいて。とても無理だと尻込みしたんですけど、「これも仏縁です」と言われて、こんな光栄なお話はないと思ってお引き受けしました。
そうしたら、芸術的なアレンジメントをしてみたいと欲が出てきたんですね(笑)。台風のあとのダム湖にトラックで取りに行った流木を使ったり、どんどん大がかりになっています。
草笛 ずっと体を鍛え続けているからできるのよ。
志穂美 確かに肉体が強すぎるので、流木でもなんでも取りに行けちゃう(笑)。お花って体力がないとできないんです。トラックにお花を積んで、活けて、終わったら全部回収して……なので。
草笛 筋肉のつき方や身のこなしが見るからに違うもの。すごいわ。