奈良の実家で農業も(写真提供◎哲夫さん)

消えたんじゃなくて

7年ほど前から、奈良の実家で本格的に農業を手伝い始めました。最近は、うちの畑でとれた米の稲わらを使った「わらじ作り教室」も開催しています。

そのなかで強く感じるのは、あらゆるものは循環しているということ。野菜の葉っぱを畑に放っておくと、1年後にはまったく原形をとどめていません。ゆっくりと土に還り、そこから新たに大根や白菜が育っていく。消えたんじゃなくて、形を変えながら循環しているんです。

最近、花火好きがきっかけで花火解説を頼まれることも増えましたが、「一瞬で消えた」と言うと寂しい気がして、「美しい光が夜空に溶け込んでいきました」と表現するようにしています。そうすると皆さん、すごく喜んでくださる。幸せな余韻が残るからでしょう。

お金も、使ったら消えるわけではありません。たとえば納めた税金は社会に溶け込んでいく。街中で「俺の税金がこの信号の一部になってるのとちゃうか」とか考えると、面白いですよね。お金がお金じゃないものになって循環するのが、理想の形だと思います。