量より質を求めて

八女茶の特徴は、新芽の数を少なくして葉を大きくしっかり育てる芽重型(がじゅうがた)の栽培方法を採用していることです。このため、八女茶の収穫は、ほとんどが二番茶までしか摘み採りません。

お茶の品質や味は、葉を摘む時期によって差がでます。

若く柔らかいうちに摘んだものが一番茶(新茶)で、これ以後は摘採の順に二番茶、三番茶と呼びます。一番茶は長い休眠状態を経て萌芽するのでアミノ酸類の含有量が十分に高まりうま味感が増加します。

芽重型で芽を育てたお茶は、強いうま味とコクを味わえます。他産地の緑茶に比べて味が濃厚であること、苦渋味が少ないことが八女茶の最大の特徴です。

福岡県の荒茶生産量が栽培面積の割に少ないのは、こうした量より質を重視した芽重型の栽培や、その摘採回数が少ないことによるものです。

『八女茶――発祥600年』(監修:福岡の八女茶 発祥600年祭実行委員会/中央公論新社)