確証バイアス

いちばん有名な認知バイアスの1つ「確証バイアス」についても考えてみよう。私たち人間には「自分の信じたいことを信じる」という傾向があるが、その傾向を説明するのが確証バイアスだ。

何か信じていることがあるなら、それを裏づける情報ばかりを集め、それに反する情報は無視するようになる。言い換えると、自分が間違っていない証拠を必死になって集めるということだ。確証バイアスの状態にある人は、事実ではなく、自分の信念だけを見ている。

確証バイアスの状態にある人は、事実ではなく、自分の信念だけを見ている(写真提供:Photo AC)

この「事実を無視して自分の思い込みだけを信じる」というのは、すべての認知バイアスに共通する姿勢だ。これを書いている時点で、意思決定に関わる認知バイアスは106種類も存在することがわかっている!

私は106種類ほぼすべてについて調べた。認知バイアスについての本や研究論文もいくつか読んでいる。そこから私が出した結論は、「自分の頭は信用できない」というものだ。とはいえもちろん、私の結論も認知バイアスの影響を受けているかもしれない。

いずれにせよ、いちばん大切なのはこういうことだ──何かを決断するときは、思い込み、自明の論理、さらには科学さえも信用してはいけない。

科学者もまた人間だ。それはつまり、科学者にもそれぞれの認知バイアスがあるという意味になる。自分が唱える説を裏づける証拠ばかりを集めることに関しては、科学者は特にプロフェッショナルだ。