(イラスト◎大野舞)
スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第26回は「夫が結婚前の恋人からの手紙を大事にしまっていた」です。

Q 夫が結婚前の恋人からの手紙を大事にしまっていた

A)なぜ保管しているのか夫に尋ねる

B)見なかったものとして黙っているにしまっていた

現在進行形の恋愛ではない

今回のテーマのような経験はないという方も、想像力を膨らませてお考えください。あなたと夫は長年連れ添った夫婦。ある日、あなたはたまたま夫宛ての古い手紙を発見しました。差出人の名前は夫が結婚前に付き合っていた女性だったというシチュエーションです。さて、幸せぐせの選択はどちらでしょうか?

答えはBです。焼けぼっくいに火がついた現在進行形の恋愛ではなく、ただ古い手紙をとってあるだけのこと。夫の人生は夫のもの、残しておきたい思い出のひとつくらいあるでしょう。妻だからといって、その思い出(しかも結婚前のもの)にまで口出しはできません。見なかったものとして、黙ってそのまま元の場所に戻しておくのが幸せぐせです。

人生の酸いも甘いもかみ分けた読者のみなさんなら、良い意味で互いを空気のような存在ととらえる夫婦関係や、互いの人生を尊重する悟りにも似た境地を、なんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか。結婚前に付き合っていた女性のことなど、今さらあれこれ問いただしたりせず、波風立てないのが賢い選択です。

そうはいっても気になる、という方もいらっしゃるかもしれません。手紙を書いた女性はどういう人で、今はどこで何をしているのか。夫がどういうつもりで手紙をとっておいたのか、などなど。長年連れ添った夫の過去に嫉妬するなんて、愛がある証拠。ほほえましいとも思いますが、愛情と干渉は別ものです。真の愛情があるなら、夫の人生を尊重し受け入れ、思い出には干渉せずそっとしておいてあげられるはずです。