残間 私も息子に、「私は鉄人じゃないからね」と言ったことがある(笑)。山あり谷ありの人生を、惑いながらもここまで生きてきたんだもの。改めて考えてみると、いろいろなことがあったな。

吉永 お母さんの介護をしていた時期もあったよね。

残間 最後は施設に入所したけど、なんだかんだで15年間。

吉永 15年も!うちの母は旅先で突然死したので、私は介護の経験がないの。だからことさら思うのかもしれないけど、子どもたちに自分の介護をさせるのは可哀想というか、まず自分たちのことで手一杯で無理だと思う。パンクでもされたらこっちの悩みが増えちゃうから、具合が悪くても言わないの。

残間 わかるわかる。

吉永 最後まで子どもの世話にはならない。ならばどうするのかと算段して、着々と計画を実行に移しておく必要があるけどね。

残間 どんな計画?

吉永 ボケてゴミ捨てができなくなったら、施設に入ると決めてるの。でもできるだけ長く家にいたいから、働けるうちは働いて、自分の食いぶちは自分で稼ぐ。体力維持に励むのも、今の暮らしを続けるための活動の一環だね。

残間 想像力を備えて、先手必勝でいきたいところよね。

吉永 とはいえ、人生はギャンブルみたいなものだから。

残間 元祖女性競馬記者がいうのだから間違いないね。(笑)

吉永 だって100通りの未来図を想定していても、想定外の101通り目のことが起こるのが人生じゃない?それでも100通り考えてれば少しは応用が効く、かもしれない。

残間 そもそも私は一人で生きていけるように働く道を選んだのだし、若い頃に「一人で生きていきます」と宣言しちゃったから、今さら後には引けないわ。