純粋にアイデアを生成するプロセスに対して働く

この結果から、アイデアを引き出すためには、聞き手の態度がとても重要な役割を果たすと言えます*3。

そして、発想課題の種類に着目すると、「どうすればよいか」を考える解決課題よりも、「どんなことが起こるか」を考える予想課題の方が、あいづちの効果が顕著に現れました。なぜ、このような違いが生じたのでしょうか。

予想課題では自由にアイデアを出せばよいのですが、解決課題では、「解決に結びつくアイデアを出す」という条件でアイデアをチェックすることが必要になります。いわば、条件つきの発想課題となります。

したがって、あいづちによる発想促進効果は、チェックをかける前の、純粋にアイデアを生成するプロセスに対して働くのではないかと考えられます。

ところで、この結果に対して、「あいづちが発想を促進したというより、あいづちをあまり打ってもらえないことが発想を抑制したのではないか」と考えることもできるでしょう。

そこで、補足実験として、発想のベースラインを調べることにしました。つまり、アイデアを実験者に向かって話す代わりに、自由に書き出してもらう方法を取りました。

時間制限は話す場合と揃えました。すると、その際の発想量は、あいづちをあまり打たない場合とほぼ同じになりました。このことから、あいづちを打たないことが発想を抑制したのではなく、あいづちを打つことが発想を促進したのだと解釈できます。