海の研究に向いているのかも
いまでこそ趣味は登山ですが、子どものころは読書が好きなインドア派で、理系の勉強にも関心はありませんでした。化合物の構造式の視覚的なわかりやすさが面白く、目覚めたのは高校生になってから。
父が購読していた『ニュートン』などの科学雑誌で地球環境について考えるアースサイエンス(地球科学)という分野を知り、その学科がある弘前大学へ進みました。
当時、働いている女性のロールモデルは「学校の先生」だったので、自分も中学校か高校の理科の先生になるものと思っていました。それが、大学4年時の卒業論文の指導教官が南極観測の経験がある方で、ことあるごとに南極の魅力を学生に熱っぽく語ってくださって。
そのときの私の毎日は、校舎の屋上に設置したバケツにたまった雨水を分析する、という大変地味なものだったので(笑)、「簡単には行けそうにない南極に行って、フィールドワークができたらどんなに素敵だろう」と憧れるようになりました。
進学先は、多くの南極観測隊員を輩出している名古屋大学大学院に決めました。専攻は大気水圏科学。かつて海洋表層に生息していたプランクトンによる生成物を海底の堆積物から解析し、水温など過去の環境を推測するという研究は、現在に至るまで私の研究テーマとなっています。