気軽に相談しやすいリーダーを目指して
出発までの準備はいろいろあって、そのひとつが3月に長野県の山中で行われる冬期訓練。
なかなかにハードで、たとえばクレバス(氷の割れ目)に落ちたことを想定して、雪山の崖をロープでよじ登るとか、屋外での作業中に基地まで戻れなかった場合に備えて、簡易型テントで一泊するとか。実際の南極では、基地に戻れない荒天が予想される場合は、最初から外出しないのですけれども。
夏の南極の気温は時に0℃を上回りますが、冬になれば昭和基地周辺でもマイナス45℃まで下がることも。訓練では数人ずつのチームを組み、GPS受信機とコンパスと地図を持って、吹雪の中でもルート工作をしながらゴール地点に向かう、といったミッションが課せられます。これまでの参加経験から、本番の南極より、正直こっちのほうがつらい。(笑)
それでこそ訓練の意味があるのでしょう。年齢も所属先もばらばらな隊員同士が、互いの人柄を知る最初の大事な機会。過酷な日々を一緒に過ごすと団結力が高まって、その後の準備や計画を立てる際のコミュニケーションが円滑になります。
私が目指すのは、何でも気軽に話してもらえる調整型のリーダー。自然が相手なだけに、現地では観測計画の急な変更などもあるでしょう。どんなときでも「隊長の決断なら」と納得し、理解されるような信頼関係を築きたいと思います。
半年ほど家をあけることになりますが、転勤族の夫は単身赴任で各地を回っており、私は私でフィールドワークに出ることが多く、そもそも同居の機会があまりないんですよね。あちらはいつも「まあいいんじゃないの」というスタンスで応援してくれています。