こうしたサウナ浴によるさまざまな効能を総合的に鑑みると、「サウナには、免疫力を上げる効果が十分ある」と鄭先生は言う。

「ただし、その健康効果を得るためには入浴法に気をつけることが重要。無理をすると、健康を害するどころか命に関わります」

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(1)1回に入る時間の目安は、5~10分程度。長く入れば効果が上がるわけではないので我慢をしない。また、サウナ室内の天井と床で25~30℃の温度差があるので、顔面への熱感が強いときは床に近い位置からはじめるのが望ましい

(2)水風呂は刺激が強いので、高齢者、高血圧症や動脈硬化症、心臓病などの持病がある人は避ける。健康な人でも体調によっては自重し、「サウナと水風呂」の交代は、1日2~3セット程度に留める

(3)こまめに体重をはかって汗で失われた量の水分を補給し、十分な休憩をとる。そして週に2~3回の頻度で、継続することが理想

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「かつて私がいた九州の自治体で、高齢者を対象に温浴施設(温泉・サウナ)の無料券を配ったところ、医療費が大幅に削減されたという報告がありました。サウナ浴を定期的に行っている人は確かに肌の色艶がよく健康的で、見た目は実年齢よりも若々しい(笑)。正しい入り方を守って、サウナを健康維持・増進に大いに役立ててくださいね」

 

魅力的な施設が増えている

私がサウナを体験した「スパ ラクーア」はリニューアルにあたり、女性がより本場に近い感覚でサウナを楽しめるように、施設を大きく変えたという。

そこで、サウナー(サウナ愛好者)のバイブルとも言われる『サ道』(全3巻)の著者、マンガ家のタナカカツキさんに、最近のサウナ事情を聞きに行った。タナカさんは日本サウナ・スパ協会公認の「サウナ大使」を務め、全国各地のサウナ施設の視察やアドバイスも行っている。

最新の『サ道』3巻(タナカカツキ・著)。今年は東京テレビ系列でテレビドラマ化もされた

「確かに女性のサウナーは増えていますね。女性は肌の状態が改善するなど、効果を実感しやすいこともあって、よりよい環境を、と要望も多い。そのおかげで女性が利用できる施設が増え、サービスも充実してきました」

体に負担をかけずにサウナの効能を得るには、施設選びも大切だという。特に日本では、これまでサウナは高温であるほどいいと考えられていて、100℃近くあるところも多かった。

「本場フィンランドでも、サウナ室の温度は70~80℃に保たれています。入っていて楽だし、リスクも低いんです」

加えて、通気も大切。空気の流れが悪かったり、天井が高すぎたりすると室温が一定に保たれず、80℃に設定しても、上段は100℃近くになってしまうことも。タナカさんによれば、天井の高さはせいぜい頭の上こぶし2つ分くらいで十分だという。

「何より大事なのは、休憩する場所をきちんと設けているかどうか。血圧が上下するので、出たあとには静かに休むことが大切なんです。サウナのすぐ近くに椅子が置いてあるようなところがいいですね」