こうした指導を続けてきた結果、「最近のサウナ事情はかなりよくなってきた」とタナカさん。

「ロウリュやアウフグースを行う施設は増えましたが、僕はセルフロウリュができるフィンランド式サウナがもっともっと増えてほしい。自分の手でロウリュができれば、好きなタイミングで体感温度や湿度を上げられるので、無理なくサウナを楽しめますから」

ちなみに「スパ ラクーア」でも、露天エリアにセルフロウリュができるサウナ室が新設されていた。山小屋のような小さな室内で、サウナストーブの前に桶が置いてあり、利用客が石に水をかけられるようになっている。

私も初めて体験したが、ほぼ足元の間接照明のみという薄明かりの中、水が蒸発するジュワーッという音とともに天井から熱が降り注いでくる……。「それがまさに、フィンランド式サウナの世界観なんです」とタナカさん。

タナカさんは10年以上前からサウナに通いはじめ、4年ほど経った頃から体の調子がよくなっていることに気づいたのだという。

「職業柄、肩や首のこり、腰の痛みに悩んでいましたが、いつのまにか解消。風邪もひかなくなり、鼻炎もおさまりました。精神的にも穏やかになって、怒ることがほとんどなくなりましたね。また脳の疲れが取れるのか、仕事のパフォーマンスが抜群に上がりました」

ほぼ毎日サウナに通い、お昼過ぎから夕方6時くらいまで滞在。休憩エリアで仕事をしたり、打ち合わせをすることもあるそうだ。

「サウナ=男性というイメージを変えたいですね。フィンランドやバルト三国では、森や湖の近くにサウナを設けて、男女ともにアウトドア感覚で楽しんでいる。カラフルな水着を着たり、かわいいサウナハットをかぶったりして、すごくファッショナブルなんです」

フィンランドまで行けないにしても、今回、日本のサウナで健康効果を得る環境が整いつつあることがわかった。正しい入り方をすれば、体も気分もシャキッとすることを実感したし、免疫アップも期待できそう。よし、この冬はサウナで乗り切ろう。次は……とスケジュール帳とにらめっこをする私である。