「リバースモーゲージ」が使えるか

「すべてはお金。嫌らしいけれど、結局はお金。お金があれば、問題は片付く。住まいだって買えばいい。ヘルパーだって頼める」

とはいえ、美佳さんは「老後の家については心配してない」とさらり。いま父と二人で住んでいるマンションは、いずれ美佳さんが相続します。住宅ローンは、ずいぶん前に両親が完済しました。すでに室内のリフォームも済んでいます。室内ドアを吊り戸にするなど、フルフラット(段差のない)のバリアフリー仕様になっています。マンション前は坂道なので、電動の車椅子でないと大変かもしれませんが、自宅は1階ですし、老後までずっと暮らせるでしょう。

マンションは一般的に、築年が古くなるほど、維持管理にお金がかかります。大規模修繕の時に修繕積立金が不足して、各戸あたり何百万もの臨時徴収をされることも。美佳さんの自宅は、すでに築40年超。170戸規模の大規模マンションで、エレベーター改修も含め、大規模修繕には資金がかかりそうです。臨時徴収の心配はないのでしょうか。「幸い、駐車場があるんで大丈夫みたい」。古い物件ならでは、敷地に余裕があり、駅近ながら駐車場もかなりの台数分、あります。

つい数年前まで管理人が常駐(住み込み)でした。管理の良さと駅近の立地のおかげでしょう、最近でも売買事例があり、3000万円弱でした。若い世代にも人気らしく、住民も入れ替わっています。

こんな条件の家なので、老後の生活資金としては、「ラッキーなことに、リバースモーゲージが行けると思う」と、美佳さん。リバースモーゲージとは、所有している不動産に住み続けながら、銀行に担保として差し出し、代わりに、死ぬまで毎月、一定額を生活費として受け取る「逆ローン」制度です。銀行は、所有者が亡くなった後に不動産を売却して資金を回収しますから、売れる見込みのある、相当の担保価値のつく物件でないと、この制度の対象になりません。

銀行勤めで担保価値に詳しい親戚に確認したら、築古だけれど資産価値が高いので大丈夫そう、と言われました。美佳さんの受け取れる年金は、厚生年金を入れてもあまり多くありません。でも、リバースモーゲージが使えれば、死ぬまで生活費には困らないと、美佳さんは目論みます。