「日本だからできる展覧会」
長い間ポンペイなどの発掘調査に携わっている歴史・考古学者である青柳正規さんが企画した、古代ローマと日本の浴場文化の比較をテーマにした展覧会の巡回が、去年の秋から始まった。
古代ローマ文明に関する展覧会は日本でも何度となく開催されてきたが、お風呂文化だけに特化したものは今回が初めてである。
イタリア人の夫からは「日本だからできる展覧会」と言われた通り、公衆浴場という文化が廃れてしまったイタリアや近隣諸国では、おそらくこのような企画が発想されることはないだろう。
私も協力者としてこの展覧会に携わっているが、偶然にも東京での開催が始まるころに、11年ぶりに連載再開した『テルマエ・ロマエ』の続編1巻が刊行された。
展覧会初日に企画された青柳さんと私の対談では、浴場そして温泉というものを日常の必然と捉えてきた古代ローマ人と日本人の類似性や比較、そして『続テルマエ・ロマエ』のコンセプトともなっている、温泉・入浴文化と国の発展の密接な関わりが話題となった。