お風呂と入浴が人類の発展に担った役割とは

巨大な領地を支配した古代ローマの歴史が千年も続いた理由はいくつも挙げられるが、その繁栄には各地での浴場施設の建設や、温泉の開発も大きく関わっている。

温かいお湯に体を包まれることで心身の健康が得られるという効果を体感した人々は、たとえ自分たちが侵略された立場であろうと、入浴というローマの文明を受け入れないわけにはいかなかったはずである。

『続テルマエ・ロマエ』は、東西南北に存在する日本のさまざまな温泉に、還暦間近となった主人公ルシウスが古代ローマの平和という使命を背負って現れる設定で描いている。

お風呂と入浴という習慣が人類の発展にどれほど大きな役割を担ってきたのか。

殺伐とした現代の社会情勢が、再びこの漫画を描こうと思い立った理由にもなっているが、あらためて、今を生きる人々に、入浴によって自分の命をねぎらってもらいたいという願いも、もちろん込められているのだった。


歩きながら考える』(著:ヤマザキマリ/中公新書ラクレ)

パンデミック下、日本に長期滞在することになった「旅する漫画家」ヤマザキマリ。思いがけなく移動の自由を奪われた日々の中で思索を重ね、様々な気づきや発見があった。「日本らしさ」とは何か? 倫理の異なる集団同士の争いを回避するためには? そして私たちは、この先行き不透明な世界をどう生きていけば良いのか? 自分の頭で考えるための知恵とユーモアがつまった1冊。たちどまったままではいられない。新たな歩みを始めよう!