内野 草笛さんにはなにからなにまでお世話になったと思いますけど、失礼ながら僕は一切覚えてないんですよ。

思い出せるのは、「あなた~、大丈夫~? どうしたの~?」ってトイレのドアをノックする、心配そうな草笛さんの声だけ(笑)。「苦しいです……」と答えながら意識を失ったので。

草笛 あなたの気持ちいいところは、本当によく食べるところ。そして、よく飲む。私が飼っていたゴールデンレトリバーのシャーリーの上に覆いかぶさったまま、うちの長椅子で寝ちゃったこともあったじゃない。

内野 大酒くらっちゃうのは、草笛さんといるとリラックスできるからでしょうね。あのころご自宅に遊びに行くと、よく部屋で音楽をかけて、それに合わせて即興で体を動かしてらっしゃいましたね。

「私たちは音楽が聞こえてきたら、こうやって自由に動けなくちゃダメなのよ」とか言いながら。

草笛 文学座で正統派の演技を身につけてきたあなたを、少し揺さぶりたくなったんじゃないかしら。

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