内野 草笛さんにはなにからなにまでお世話になったと思いますけど、失礼ながら僕は一切覚えてないんですよ。

思い出せるのは、「あなた~、大丈夫~? どうしたの~?」ってトイレのドアをノックする、心配そうな草笛さんの声だけ(笑)。「苦しいです……」と答えながら意識を失ったので。

草笛 あなたの気持ちいいところは、本当によく食べるところ。そして、よく飲む。私が飼っていたゴールデンレトリバーのシャーリーの上に覆いかぶさったまま、うちの長椅子で寝ちゃったこともあったじゃない。

内野 大酒くらっちゃうのは、草笛さんといるとリラックスできるからでしょうね。あのころご自宅に遊びに行くと、よく部屋で音楽をかけて、それに合わせて即興で体を動かしてらっしゃいましたね。

「私たちは音楽が聞こえてきたら、こうやって自由に動けなくちゃダメなのよ」とか言いながら。

草笛 文学座で正統派の演技を身につけてきたあなたを、少し揺さぶりたくなったんじゃないかしら。

<後編につづく

【関連記事】
【後編】草笛光子×内野聖陽 初対面から同志だった、25年来の絆「この歳で主演って大変よ」「この仕事を長く続けるなら、見習わなければと思います」
草笛光子「志穂美さんといると、生きる馬力が伝わってくる。舞台が役者の花道だと思っているから、女優魂を持って続けたい」【志穂美悦子×草笛光子】
草笛光子×市村正規「歌と踊りと芝居を結婚させるのがミュージカル。その3つがちゃんとできる人とご一緒すると、何度も共演したような気がしちゃう」