ミュージカル俳優の市村正親さん(左)と草笛光子さん(右)(撮影=天日恵美子)
歌と踊りと芝居と――。ミュージカルを愛し、数多くの作品に出演する草笛光子さんは、このすべてに熱心に取り組んできました。今回のゲストは、日本を代表するミュージカル俳優の市村正親さん。仲のいい2人の、よどみない掛け合いのなかに、互いへの敬意が滲み出ています(構成=篠藤ゆり 撮影=天日恵美子)

同じ血が流れているように感じる

草笛 こうして撮影していると、私たちって無意識にミュージカルのワンシーンのようなポーズをとってしまうわね。

市村 足も自然に上がっちゃう。(笑)

草笛 舞台をご一緒したのは、何回くらいかしら。

市村 たぶん3回じゃないかな。

草笛 え、それだけ?もっとなかった?

市村 いや、そう言われてもないのよ(笑)。がっぷり四つに組んだのは、4年前の『ドライビング・ミス・デイジー』だね。人種差別が厳然とあった時代のアメリカを舞台に、ユダヤ人未亡人と黒人運転手の交流を描いた物語。

歌も踊りもないシンプルなストレートプレイだったけど、僕のなかには常に音楽が流れてた。「あー、奥様」と台詞を言うときも、体のなかにリズムを持ってさ。

草笛 歌って踊って芝居する者同士、私もそのリズムが感じられたから心地よかったわ。あなたとは久しぶりに会っても、「こんにちは」と言ったとたんに通じ合うところがある。