草笛 『シカゴ』もニューヨークで観て、ぜひやりたいと思った作品。終演後に楽屋にうかがって、ミュージカル界の女王と言われていたチタ・リヴェラさんと親しくなったの。

市村 チタとは、のちに僕もチタちくなったよ。(笑)

草笛 19歳ではじめてミュージカルに出合って以来、毎年ニューヨークに観に行っていたほど、一時期はミュージカル漬けの生活だったわね。ときどき、あのころの自分に戻りたいと思うことがある。とことん、ひたむきだった自分に。

市村 僕は小学校のころの自分に戻りたいけどね。

草笛 どうして?

市村 一番気楽な時期だったから(笑)。それに、遊ぶことに忙しかった。僕、忙しくしているのが性に合ってるんだよ。

草笛 でも、「あのころに戻りたい」なんて思う一方で、「いいえ、いまが大事」とも思うわけ。あなたもそうよ。いまやれることを一所懸命やらなきゃ。

市村 一所懸命やってるよ。毎日トレーニングしてるし、今日だって、草笛さんに会う前にヨガに行ってきたし。だって食って飲んで寝てるばっかじゃ、舞台には立てないでしょう。

草笛 何歳になっても、自分を磨き続ける。それはとっても尊いことね。

<後編につづく

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