25年前、初対面ながら「昔からの知り合いみたいな気がする」と草笛光子さんが感じたという俳優の内野聖陽さんが、今回のゲスト。年齢差を忘れるほど打ち解けた関係性は微笑ましくも、「俳優」としての経緯が互いの絆を深めてきたことが伝わってきます(構成:篠藤ゆり 撮影:天日恵美子)
役者における声の面白さ・難しさ
内野 そういうときの草笛さんは、本当に楽しそう。そこがカッコいい。でも、実は草笛さんときちんと共演したのは、あの舞台で一度きりなんですよ。同じ作品に関わっている、というのはいくつかありますけど。そのなかでは、時代劇『蝉しぐれ』が非常に印象に残っていますね。
草笛 あれは、よかった。
内野 少年期に政変に巻き込まれた父を処刑され、その後も運命に翻弄される主人公の牧文四郎を僕が演じて、そのドラマのナレーションを草笛さんが務めてくださったんですが、このナレーションがもう素晴らしくて。
草笛 文四郎を思う母の愛を表現してほしい、というのがプロデューサーの意向だったのよ。
内野 文四郎は養子なので、実母が登場することがないですからね。
草笛 あの作品はね、私も覚悟してやったの。
内野 覚悟?